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大動脈弁置換術 (D君と最後の手術)

15歳、51kgの大動脈弁形成後の大動脈弁の逆流。前回の手術もH先生と僕だった。心室中隔欠損を他の病院で閉じた後にではじめた逆流で、右冠尖が逸脱(心室側に引っ張られるように右冠尖の弁輪が移動していた)している弁で、なぜかよく記憶にとどまっていた。今回はその再発。エコーではやはり右冠尖の逸脱で逆流になっていた。大動脈弁形成後、1年以内の再手術はいままでほとんどなかった。今回は、ROSS手術が予定されていたけど、本人の希望で機械弁の弁置換。手術はH先生、僕、D君。開けてみると、形成後の弁は機能しているように見えたけど、心膜が萎縮しているような形になっていた。弁尖は2mmくらい、右冠尖は3〜4mmくらい残すようにして切除。SJM25mmで置換。術後は手術場で抜管して終了。

大人の心臓外科では珍しくないこの手術もこの病院では1年に1例あるかないか、なので、難易度の割に混乱する手術になる。特に、ほとんどこどもの経験しかない、C先生やP先生が前立ちのときは大混乱になっていた。そんな手術だからきまった手順はないのだけど、とはいえ大動脈弁置換。ここは実力の差(?)、経験の差(?)を見せつける時。手術は順調で、H先生が見落としていた所も指摘できてよかった。大人の心臓外科も一生懸命やっていてよかった〜。

D君が、収入のより良い所に移るために今週一杯で病院を去る事になった。というわけで、最後に閉胸をしてもらった。D君の助けと存在があったから、僕がH先生の1助手をさせてもらえていたし、D君のキャラのお陰で楽しく仕事ができた。飲み会もよく誘ってくれたし、ディスコにも一緒に行ったし、ドイツ語のやや悪い日常会話もたくさん教えてくれた。彼が去ると、僕の仕事内容も大きく変わる悪い予感がするけど、若い彼がチャレンジするのは本当に応援したいと思う。それにしても、よい人がいなくなるってさみしいな〜。





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このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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