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ラステリ手術

6歳、18kgのファロー四徴症根治術後。肺動脈弁は切開されて右室から肺動脈までパッチ(transannular patch)で広げられていて肺動脈逆流と、それによる右室拡大が手術適応。手術はC先生、僕、Iさん。脱血2本で人工心肺開始。ラステリの導管は17mmのホモグラフトで。問題なく手術は終了。手術室で抜管。

女医で4?歳のC先生はJ先生が出て行った後にしっかりと独り立ちの外科医になり、心臓先生やA教授のような上の先生に助けを借りずに、僕のような下の人間と手術をする。C先生の1助手の候補は、L先生、P先生、僕の3人の男どもしかいない訳だけど,C先生は僕ばかりを指名してくる。なぜかというと、他の男どもとはなぜか折り合いが悪く、手術中に喧嘩までにはいかないものの、まちがいなく険悪な雰囲気になる。2人のボスをのぞけばC先生は一番上だし、多少偉そうにしても仕方ないと思うのだけど、他の男どもはどうもそれが我慢できないらしく、ときどきそういう態度を露骨に表す。C先生も(多くのドイツの女性はそうだけど)絶対に負けずに、さらにその上を取ろうとする。ボクシングでは面白いのだけど、リング中央で一歩も引かないで殴り合っているようなもの。そこにきて、『やさしい』ことがモテる秘訣と洗脳されている日本人の僕は、C先生の強硬な態度にも理不尽な言いがかりにも、『そうだね〜ごめんごめん』で徹底的に受け流している。右から来るものが前を横切る前にあっというまに遠く左の先に行ってしまっているくらいの勢いで受け流している。だから、C先生は一瞬のイライラもその度に全部吐きだして、その後は信じられない笑顔を見せてくれる。

そして、問題は『術者vs1助手』だけじゃないのが事をさらにややこしくしている。

2助手をしてくれているIさんは、アシスタントのD君の代わりにやってきた20歳代の女の子のアシスタント。この子もドイツ人女性らしく敵とはリング中央で一歩も引かずに殴り合う強さを持っている。他の男どもはこのIさんをどうにか男の力と威厳で征服しようとする。それでもドイツ女のIさんは、たまに涙を流しながらも握った拳は絶対におろさない。そこにきて、『やさしさ』は『おっぱい』の引き換え券だと週間プレイボーイに教わっている日本人の僕は、彼女が失敗しても多少生意気でも『よしよし、お前はいい子だね〜』と頭をなでなでしているので、他の男どもには拳を握りしめて殴り掛かる狂犬のようなIさんも、僕にはかわいくお手をしてくれる。

それで終ればいいのだけど、どういう訳か、というか、当然といえばそんな気もするのだけど、このC先生とIさんは異常に仲がいい。一緒に手術やりたいよね〜、私たち仲良しだもんね〜的なノリで手術のメンバーを組んでいる事はないと思うけど。それでも、C先生は手術をするときには、Iさんを外さない。そして、残りの一枠には、おのずと僕が入ることになり、この3人がチームとして成立してしまっているのが、今の現状なのだ。手術中は、険悪になることもなく、どちらかというと和気あいあいという感じの事が多いし、C先生も気分が良ければ親切な人だし、Iさんもストレスがかからなければかわいい女の子。




だけど。。。。。なんだろう。このメンバーで手術した後の疲労感。体の芯がずんと重くなって、力を根こそぎ持っていかれたような虚無感。歩くたびに足が地面にめり込むんじゃないかとさえ思う。こうやって書きながらも、つい、うとうととしてしまう。





男を好きになる夢を見そう。














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このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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