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なりゆきの論文教室〜4時間目〜 『尻の穴に指つっこんで奥歯ガタガタ言わせたるぞ!!』の独語訳

すべての抄録ができあがっても、一人だけ無事でなかった人がいた。それは、まぎれもなく僕だった。


P先生はプライドも人一倍高い。人百倍くらいかもしれない。いや、人万倍かもしれない。いや。人。。もうやめよう。とにかく、見上げてもかすむくらいの高さで、明らかに僕のことは見下している。だから、自分のが炎上して、さらに僕の書いたもので出したというのが、腹立たしくて仕方ない。毎日のように、僕に文句や愚痴を言ってくる。しかも、机に座っている時も手術の時も連れションの時も。いやいや、感謝されても文句言われる筋合いはないよ、と思って最初は聞き流していたのだけど、あまりもしつこいので、『尻の穴に指つっこんで奥歯ガタガタ言わせたるぞ!!』と言おうとこの文章を頭の中でドイツ語に変換していたら、出た言葉が『わかった。統計と抄録の書き方を教えてやるから、一緒にやってみようよ』だった。


しまった。一生の不覚。ドイツ語の出来なさぶりをこの時ほど悔やんだことはない。


このようななりゆきで論文教室が始まった。
レッスン1は論文を書く前にすべき事。をするはずだった。
いいかい、論文を書く、あるいは,研究を始める前に大事なことは、自分が日常的に考えたり思っている事について『仮説』を立てる事なんだ。データだけ持ってきて、なにか意味のある数字を探すというのは、そういうやり方もあるけど、時間も無駄だし莫大な労力を使ってしまうんだ。だから、まず、ここに行き着くぞというゴールとなる『仮説』を立てるんだ。そして、それに関する論文を読む。誰かが同じような事をしていたら、自分の考えとの違いをはっきりするまで考える事。誰も同じような事をしていなかったら、どんどん進めばいいかというとそうではなくて、一旦立ち止まって考えなきゃいけない。だって、世界中みんな考える事はだいたい同じだけど、いままで誰もそれを書いていないというのは、だれも立証できなかった、つまりそのアイデアは間違っているか、なにか大きな見落としがあるかもしれない。だから、一旦ここでたちどまって、って、おい!!てめえ!人の話を聞け!!と本当にツッコミを入れたほど、P先生はぽか〜ん、と口を開けて、目はうつろになっていた。

あ。これは無理だ。

いいかい。ここまでのことはこの本(一番下に日本語訳の本を紹介しています)に書いているから、まずこの本を買って勉強したらいいよ。と一緒にAmazonを開いて本を注文した。幸い、英語の本をアメリカから取り寄せる事になり、船便で最大12週間かかるらしい。大西洋よ、どうか荒れてくれ。タイタニックのような悲劇が起きても、今回だけは目をつぶる。これで逃げられる〜!!と思ったけど、P先生は意識を取り戻し、恐ろしい事を言い始めた。




この本が届くまでに、統計の勉強をしようよ。




なぜ、この一言が恐ろしいかというと、P先生はスロバキアの大学を卒業しているのだけど、スロバキアでは数学は医学部では全く教えないらしい。そもそも、医学部に入るための数学のレベルがどの程度かはわからないけど、日本の医学部に入るレベルとは相当の開きがあるのは多分間違いないと思う。昨年、社会人枠で大学再入学を目指しているD君に数学の受験問題を見せてもらったけど、ドイツでさえそうレベルが高いとは思えない。だから、P先生の責任でもないし、彼の能力が低いからとか言う訳ではないのだけど、統計については知識がゼロなのだ。ある時に彼が、平均(mean)と中央値(median)の違いを教えてと言ってきた事があった。これは、おっぱい星人に、バストのサイズをcmで表すのとカップ数で表すのとの違いを教えろと言っているのに近い(と僕は信じている)くらい基本的なことだ。そのことがずっと記憶に残っていて、そこから教えないといけないのか〜と思うと、日本語が自由に使える相手でも難しいし重労働になるのに、と考えるだけで吐き気がしそうだったから、いままで逃げ回ってきたのだ。そうなると、自力で全部教えるのは無理だと思った。


誰か助けて〜と思ったとき、僕の手を取ってくれたのは、誰でもなく、アラーの神様だった。









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このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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