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駆け足の30分で、医療の未来を大胆予想してみる(2)。らしくなくまじめな前編と後編の間。

一人の医師として、医療の究極の目的って何か?と考えてみると、それは、目の前の患者さんを助けられるかどうか、に尽きると思う。論文を書いて素晴らしい成績を残しても、素晴らしい手術技術や知識を持っていても、目の前の一人の患者さんを救えなければ意味がない。逆に言うと、目の前の一人一人を救おうと努力してきた結果がいまの医療の進歩そのものなのかもしれない。

しかし、医師のそういう思いをいとも簡単に打ち砕くものが時として現れる。その1つが経済だと思う。日本は皆国民保険制度で病院にかかるのは非常に安価だし、病院をサービス業と勘違いしている人も多いけど、一歩、日本国外に出ると、金は命だし、命には金がかかるのが、むしろ常識なのだ。



もし、自分や自分の子どもが病気だとする。手元にどう頑張っても50万円しかない。しかも、今治療しなければ死んでしまう。手術をすれば治るし長生きできるのもわかっている。でも100万円かかる。一方で、10年先の安全性はわからないけど、中国製のカテーテルで治療すれば、とりあえず命は助かるし、30万円ですむ。残りのお金はその後の治療にも使える。という状況で、あなたは何を選びますか?

もし、あなたが医師で、患者さんにお金がないために手術を受けられずに毎日死んでいくのを見続けていくなかで、安価で治療出来るけど10年先のことはわからないという中国製のカテーテル治療を見つけたとする。あなたは医師として、10年先の未来が保証できないからそれを使わないで、目の前の患者さんが亡くなるのを毎日看取るという選択をすることができますか?


僕は、個人的には、中国製だろうが何だろうが、長期予後の報告や安全性に対して今までの基準には到底達し得ないレベルだろうが、患者さんを救えるものがあり、それを必要としている場所と人があれば、それを使って治療する事には賛成する。だって、それがなければ、見殺しになるしかないのだから。だから、ロシアや中国で、中国製のカテーテルで長期予後不明の心室中隔欠損症のカテーテル治療が行われていても、それで患者さんを助けているのであれば、それはむしろ素晴らしい事だとさえ思う。



経済という現実的な問題の前で、規則や秩序など、言ってられない場合もある。この中国製のカテーテルもそうだけど。昨年にインドネシアに行った時に、大学の先生方が中国製の医療機器の導入を検討されていると話しておられた。欧米の医療機器は品質はよいけど手が出せないほど高価だけど、中国製なら品質はやや劣るけど臨床には十分使えるし、なにしろ値段が数分の1だ。これで多くの医師が仕事ができ、患者さんを救えるのなら、中国製であってもそれを購入するつもりだと、話されていた。僕はいくつかの反対理由をあげて、買うべきではないと反論したが、じゃあ、どうやって患者さんを助けるの?という問いに明確な答えなんか見いだす事は絶対に不可能で、黙るしかなかった。






僕の見れる範囲の小さな世界だけど、欧米主導型の1つの道しかなかった世界が、小さい道と大きな道を持つ2つの世界になりつつあるのかもしれない。
















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このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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