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『チーム・遮断鉗子』物語 (4)

そのうち、僕とIさんは、H先生の手術のレギュラーになり、C先生の手術にもL先生の手術にもあたるようになった。

そして、僕とIさんのペアは『チーム・遮断鉗子』といつの間にかよばれていた。

女性同士ということもあってか、IさんもC先生には心を許しているようで、C先生の手術の時は、朗らかな雰囲気になる。IさんもC先生にだけは手術中に話しかけたりするので、これはチャンスと思った。H先生の手術の時は、1助手、2助手の仕事が割と明確に決まっているので、それはできないのだけど、場所や場合によっては、1助手と2助手の仕事を入れ替えた方がうまくいくときがある。それをするためには、ある程度それを2助手に理解してもらって、できるようにしてもらわないといけない。この練習を、C先生の手術の時にやってみた。最初は,彼女の手をとって糸を持たせて、糸を引くことから始めて、そのうち、僕はほかの仕事で両手を塞いで、彼女が自分で判断して手を出さないといけない状況をつくって、こういう場合は自分がやってもいいし、やらなければいけないんだ、と思うようにしむけていった。彼女は最初こそ戸惑っていたけど、そのうちそれもちゃんとできるようになっていた。

C先生の手術の時に、こういう訓練をしていることを何となく申し訳なく思っていたのだけど、滅多に人を誉めたりしないC先生が『H先生がこのチームを助手にする理由がよ〜くわかるわ。本当にやりやすいもの。』と言ってくれたので、それ以来、さらにこういう訓練の機会を作った。


短時間で、すくない機会で、きっと彼女はH先生の1助手でもちゃんとできるだろうな、と思えるくらいにまで成長した。



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このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
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遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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