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留学の仕方(3) 誇大広告の問題 

留学の意味や目的を考えるときに、絶対に避けて通れないのは、留学とは何?、という根本的な疑問だと思う。これは、僕は正解を知らないし、『僕にとっては、』という話はできるけど、『あなたにとっては、』というのはその人自身が回答を見つけることだと思う。ごくごく当たり前だけど、人それぞれ、ということだと思う。

きっと、これから留学を目指している若い先生や学生さんは、他の人はどんな留学をしたのだろう、と思って、先輩の話を聞いたり、こうやってブログを読んだりして情報を仕入れると思う。ただ、そういう情報は少し気をつけないといけないと思う。いろいろあるので、一概には言えないけど、『誇大広告』で事実がゆがめられていることがある。それが、『留学の特別感』を生み出し、海外で働くことに大きな誤解を生み出しているのではないかと思う。諸悪の根源はここじゃないかとさえ、思ってしまう。

そういうことにだまされちゃいけない。


今時、留学すればその後なんとかなるし、それが出世の大きな肩書きになると思っている人はいない、と思う。ただ、テレビなどで、スーパードクターを紹介するときには留学の時の成功談がクローズアップされるし、ことさら自分の留学経験時の話を全面に押し出す人もたまにいる。その人の留学話を聞いてだからその人が『すごい』かどうかは受け手が判断すればいいことなのだけど、『すごいだろ〜』とどや顔で話されると、もぞもぞする。中には、本当にこの人の経験はすごいし勉強になるな、と思う人もいるけど、1年や2年の経験のことを全面に押し出されると、逆にこの人はその後にどんだけ仕事で結果を残せなかったのだろう、と余計な心配をしてしまうし、こちらが情けない気持ちになることさえある。

もっと悪いのは『留学』を、まじめに仕事をしてそのボスに服従するための『おいしいエサ』に利用することだ。

留学をすればこんなすごくてこんなにいいことがあって、オレみたいに偉くなれるぞ。留学ってすごいんだぞ〜。まじめにやったら留学させてあげるよ〜。オレならお前を留学させることだってできるんだからな〜。だから、オレの言うことを聞け。留学したいなら反抗するな。

という具合に。ここまで露骨には。。。と思うかもしれないけど、『3年間の後期研修をまじめに取り組んだ者には海外留学(部長も留学した世界的施設)の特権が与えられる』と後期研修医の募集要項に書いてある心臓外科も実際にある。

『おいしいエサ』にするためには、特別なものでなければいけない。そのためには、魅力的と思わせる色をつけないといけない。だから、誇大広告になる。という単純な仕組みだと思う。

もちろん、多くの留学体験記は誠実に書かれているし、多くの先輩たちはそういう意図もなく、自身の留学の話をしてくれる。それは、すこしでも若い人に役に立つように、という親切心であって、それまでまとめて疑ったり否定するつもりはない。だけど、一部の人の『誇大広告』が『留学の特別感』を生み出して、これから留学したいと思っている若い先生や学生さんが、海外で働くことのありのままの姿を見れない1つの要因になっているのではないかと思う。

何度も言うけど、海外で働くことは決して特別ではないし、それは国内で病院を選ぶのと同じだと思う。ましてや、頑張った後のご褒美として上から与えられる特権ではない。エリートが国費で留学した明治時代じゃあるまいし。でも、そのボスがいなければ留学できないから、と思うかもしれないけど、それだけが海外で働く方法ではない。意義のある留学をしようと思ったら、その人に決められたところに黙って行くこと自体にちょっと疑問をもってもいいかもしれない。


留学の誇大広告には要注意。







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No title

以下は持論なんですが....
良く、臨床の教室にある留学なんですけど、留学も完全に「人事」で、教室がコネを持っている海外の教室に2年おきくらいに、彼が帰って来たからその入れ替わりに誰々....というヤツ。僕は、遮断鉗子先生がおっしゃるとおり、「自分がXXを学びたいから、◯◯へ留学する」と云うのが筋であって、教授(もしくは上司が)行けと云うので、云われたところへ行く、と云うのは全く持って本人のためにならないケースが多いのではないかと思っています。このような場合に、もちろん本人が良い経験が出来てとても勉強に成るケースもありますが、得するのは、助教休職と云う形で派遣先に無料の労働力を提供する教室(もしくは教授を含めた上層部。要するに海外の大御所に無料の労働力を提供する事でコネが出来ると云う事)と、無料の労働力を手に入れた受け入れ先(これはPIとしてはおいしいんですよ。だって、受け入れた人物の先の進路を面倒見たり等心配をしなくていいから、研究なら博打的な仕事をさせることも出来るし、何より給料を払ってやる努力を全くしなくって良いんですもん)だけの事が往々にしてありえるんですよね。

海外に出るなら、受け身ではなくて、本人が主体的に能動的にどこへ行って何をしたいのか、目的をはっきりしておく事がとても大切であると、僕はそう思います。

う〜ん、こんなことを書いたら、僕は日本からは抹殺かな.....

Re: No title

Dr. Kenさん、コメントありがとうございます!!

なるほどです。そういう視点(雇う側の立場)で考えたことはなかったので、興味深かったです。

最初のきっかけは、教授や上司に行けといわれ受動的だったかもしれませんが、そのなかで目標をみつけ成果を出している方もたくさんおられます。Dr.Kenさんのお話を聞いて、そういう結果を出した方々の努力や能力のすごさに改めて敬服する気持ちでした。

Dr.kenさんの仰る通り、無給で、というのはやはり問題があると思います。ただ働きでも頑張る、というのは日本人の美徳ですが、これは日本以外では異常で、そういう美徳は全く理解されないし評価もされないので、ただ利用されるだけで、このことが日本人の医師や研究者の地位を著しく下げているのではないかと思います。

僕も、この記事を書いて、ずいぶん過激になったね、と複数の人から指摘されましたが、もうちょっと踏み込んで書いていきたいこともありますので、表現に気をつけながら書くつもりです。日本から抹殺されませんように〜。笑。

また、気軽にコメントお願いします!!

このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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