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留学の仕方(5) メールの書き方 

『おい、遮断鉗子!!このcrazy boyにワインを飲ませてやってくれ!!』


ある日、にやにやしながらH先生が僕の部屋にやってきて、プリントアウトされたメールを僕に見せてくれた。

病院見学の申し込みのメールで、その若い先生が来ることは知っていたし、H先生のメールアドレスを教えたのは僕。ちゃんとした医局の先生だったし、その医局にも留学された先生が何人もいるのは知っていたし、本人が書けなくてもいろんな人の力を借りてそのくらいのメールは書けるだろう、と思って、見学の申し込みのメールを送っておいてね、とだけ頼んだのが失敗だった。

そのメールは転送してもらって、いまでも保存してあるけど。今読み直すととても面白い。だけど、その時は、同じ日本人の若い先生が面白がられていることが悲しかったし、悔しかった。

簡単な自己紹介に始まるそのメールはそこまでは良かった。その後、この病院のH先生やA教授ではなく、アメリカの有名な心臓外科医の名をあげて、『◯◯先生や××先生の手術に興味があります。彼らにも会ったことがあります。それで、H先生の病院にも見学させて欲しいです。見学の日程は〇〇です。ところで、僕はお酒が好きで、良く飲んでいます。ドイツの白ワインも興味があります。是非、ドイツの白ワインも楽しみたいです。ビールも楽しみです。ドイツの料理もすきです。本場のドイツ料理を食べるのを楽しみにしています。それではお会いできる日を楽しみにしています。』というメール。これでも随分好意的に訳しているのだけど。

これを読んだ時は、頭がくらくらした。

そんな奴は珍しいだろう?と思うかもしれないけど、このブログを通じて多くの若い先生や学生さんからメールをもらうようになったけど、多くはだいたい似たようなもので、このメールはそのなかから比べると、まだましなほう。だって、名前は書いてあるから。だけど、僕のブログにこのメールならまだしも、これを病院のボスに送りつけるその感性がもう理解できない。

実際にきた彼は、さわやかな若者だったのだけど、医師という社会的にきちんとしていなければいけない職業であるという以前に、普通の社会人として一般的な教養を勉強しなさいよ、とご希望通りビールをのませながら諭したのだけど。

彼だけでなくて、いまの若い先生や学生さんは文章力以前の、そういう礼儀や感性がおばかなギャル並みになっているような気がしてならない。僕は、日本人の医師の人間としての未熟さと教養のなさをこれ以上世界中に拡散して欲しくない。僕がメールで病院見学を申し込め、と書いた以上、その書き方だけには少し触れておこうと思う。


具体的な文章はそれぞれが書けばいいので、大きな構造だけ示しておこうと思う。
1.相手の名前。Dear Dr.◯◯ (フルネームか、Family nameで。いきなりfirst nameは絶対にだめ。失礼)
2.自分の所属と,身分と、名前。
3.◯月◯日から◯日の◯日間、そちらの見学したい。なぜならば、自分はこんなことに興味があり、この病院がそれに関してすばらしい仕事をしているからです。など、理由。理由の中で、見学したい病院を誉めることも大事。
4.見学中にこれがしたいという希望。手術がみたい。ICUの術後管理が見たい。こんなことを勉強したい。など
5.もし、この日程で都合が悪ければ教えて欲しい
6.見学当日はどこに何時にいけばいいですか?
7.お会いできることを楽しみにしています。
8.しめ。sincerelyなど
9.日付と自分の名前、メールアドレス

これだけで、十分。日程とやりたいことは、きちんと希望を書くこと。いつきてもいいですか?と訊くのが日本では礼儀かもしれないけど、こちらでは対応に困るし、それを決めるのは自分自身というのが常識。やりたいことに関しても同じ。見学に行けば、なにかプログラム的なものがあって、黙って口を開けていればそこにいれてくれる訳はない。しっかりとした目的を持っていけば、それを汲んでそれに近いことは実現させてくれるし、ボスたちはそれがホストの責任だと思っている。プライベートのこととか、他の病院や他の人の情報はいらない。自分のことを知ってもらおうと、趣味や特技を書く必要はない。メールで相手に印象つけて、覚えてもらおうという押しの強さや、メールを楽しんでもらうと言うサービス精神は、むしろ逆効果。


このメールを送ってきた先生が来ている間中、H先生がにやにやしながら、ワイン飲ませたか?ビール飲ませたか?と言ってきたのはちょっと参った。笑



(追記。ついでだけど、僕に送ってくるメールはこんなに形式張っていなくていいけど、せめて名前と所属や大学名くらいは書いて欲しいな。ブログ経由のメールでなんとなく企業のサービスか、なんでも言っていい2なんとかみたいな掲示板と勘違いしているのではないかな、と思う。ブログの向こう側にいるのは、生身の人間だし、若い先生や学生さんからすると先輩であり、友達ではないのでそのあたりの最低限の礼儀は忘れないで下さい。)


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No title

先生,若い医師でそんなのはいくらでもいますよ.ただ,医師というのは,ふつうの企業と違って社会人としての礼儀作法や接遇などの研修を受ける機会がないわけです.なのに医師免許を取ったとたんに「先生,先生」といってちやほやされるからろくなことはない.業者さんや他職種,連携する開業医との付き合い方も知らない.礼儀作法なんてものは本来は家庭でしつけるべきものなんですが,その親たちとてどうしようもない輩がいる.
医学部や,初期研修の早い時期で,こういったことを徹底的に教え込むか,一か月間くらい全然関係ないところで働かせて(NHKの番組でやっている「仕事発見伝」のように)まず基本的なマナーを教えるようにした方がいいと思いますよ.
もちろん,こんな偉そうなことを言っている自分とて,若いときはきっと周囲からみたら顰蹙を買っていたようなこともあったかもしれませんが(-_-;)

Re: No title

Dr.Ohkadoさん、コメントありがとうございます!!

Ohkado先生の仰るとおりだと思います。先生も同じかもしれませんが、ブログのようなインターネット媒体を通じてうけとるメールはさらに酷いものがあります。最初のうちは、これも時代だよな、と諦めて付き合っていました。そのそも、相手も大人ですから、そんなことを僕が言う立場でもありませんし。記事にすると厳しい口調になっていますが、今ではそういうメールにもあまり何とも思わないと言うか、嫌な気分になることもありません。ほとんどがそうだと、こちらの感覚も当たり前になってくるもので不思議です。

でも、もしここで僕が何かを言わないと彼らは他でも同じようなことをやるかもしれない、と変な正義感が生まれ、最近は少しだけやんわりと『ちょっとおかしいね〜』と個人的に言うようにしています。手紙の書き方やそういう時のルールは、病院から開業医さんに患者さんをお返しするときに書く紹介状で、先輩に厳しくしつけられた記憶があります。そういう先輩も考えてみれば自分たちよりちょっと上のまだ若い先生たちだったわけで、今の若者をわかってないやや先輩の若者が指導して、さらにわけがわからなくなっているのではないかな〜と想像したりしています。ただ、どの若者も会ってみると非常に素直で優秀な人が多いのも事実です。ちゃんとポテンシャルは備わっていて、やればできるだろうに、もったいないな、と思ってしまいます。Ohkado先生も仰るように、せっかく、初期研修医制度というモラトリアムの時間があるのですから、その時に病院でしっかりと『躾け』をやって欲しいと思ってしまいます。僕のところにやってきたメールは僕が躾けますが。笑。

また、気軽にコメントお願いします!!

No title

僕がこんなことを言うと大きなお世話で遮断鉗子先生はお気を悪くされるかもしれませんが、すこし日本しか知らない井の中の蛙たちにたいして、甘やかし過ぎじゃないでしょうか?結局、そういう事にも気が回らないのなら、来ても何かをしでかして(人に聞かずに勝手に物事をやってしまって、周囲に大迷惑を書けるなど)早晩干されるでしょうから。日本国内では「先生」でも、一歩海外に出ると全く相手にされないどころか、敬意も払ってもらえないかもしれない、そんな非常に国際的にはもろい社会的地位だと自らが気づいて、なんぼかも知れませんね。自分を成長させるためには、「ダメな自分」と真剣に向き合わないとダメだと云うのも持論です。

ああ、またこんな事書いちゃって、僕は日本社会から抹殺かな......w

Re: No title

Dr. Kenさん、コメントありがとうございます!!

いや。まったく仰る通りです。反論の余地もありませんし、言って頂いてむしろ嬉しかったです。

僕も昔はもっと厳しく対処していたのですが、日本全国からやってくるいろいろな若者と接しているうちに、これは手取り足取りやってあげないといけないのだな、ということに気がついて方向転換しました。全員がそうだというわけじゃないのですが、なにかやらかしたりしてもそれを感じとれないというか、どこ吹く風という感じの人も多いですし、逆に何も話さなかったり何も自分からしない、できない人も結構います。そういう人には、やっぱりお口になにか運んであげないといけないのかな、と思ってしまっています。

僕が今の若者に受ける印象は、『あ〜やってしまった、ごめんなさい!!』とか『あ〜もっとうまく話したい!!』とか『もう少し頑張りたい』とかいう感情の起伏や、悔しさみたいなのを持たない、のべ〜としてだら〜とした、5cmくらい宙に浮いてこの世にいるのかいないのかわからない塗り壁みたいな印象です。こんな人たちは、きっと『だめな自分』というものを見いだせないでしょうし、向き合う事もできないのだろうな、と思います。

だから、僕はこういうときはこう思うんだ。僕はこうして悔しかったから、こうしようと思うんだ、ということを、書き続けているような気がします。少しでも、のべ〜とした心に届かないかな〜と思っているところがあります。きっと、良識のある大人の人が読むと、なんて自意識過剰な文章なんだと思うだろうな、とは予想しているですが。。。

もちろん、素晴らしい若い人もいて、感動することも多いですので、そういう人にはいっぱい揉まれてもらって、自身を磨いて欲しいな、と思います。かく言う僕もまだまだもまれなくてはいけない『若者』のつもりです。

僕は、本当はDr, Kenさんのような大人の発言こそが今の時代は本当に必要なのだと思っています。バカにはバカと言ってあげないといけないと思っています。僕にまだその覚悟がないのが問題です。

また、気軽にコメントお願いします!!



このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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