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こっちも日本代表。こっちも引き分け。

サッカー日本代表がワールドカップ行きを決めたとか。ニュースの文字だけ見ても、それはもちろん嬉しいのだけど、やっぱりテレビの前でドキドキしながら応援したかったな〜。何はともあれ、ガンバレ!!ニッポン!!

サッカー日本代表が戦っているとき、僕も日本代表として一生懸命、頭を下げていた。

今日の手術は、ファロー四徴症根治術後の三尖弁逆流。心房粗動もあるので右側メイズも。手術は、H先生、僕、Iさん。三尖弁は交連部を閉鎖して、弁輪縮小。メイズは、右側のみ。アルゴンを使ったクライオで。

この患者さんは4年前に根治術をうけている。開胸、剥離は僕の仕事。再手術の開胸、剥離は割と時間がかかる事もあるので、すこし前は手術が始まって少なくとも1時間はH先生は手術室にやって来ずに、僕の剥離の終るのを待っていてくれたのだけど、最近は、どんどん早くなってこちらもそれに合わせてどんどん早くやらないといけない羽目にあっている。この間は手術開始30分でやってきて剥離が進んでないことを怒っていた。怒られるのも嫌なので、一生懸命やっていた。と言っても限界があるし、やる事といえば、もう無言で、せっせ、せっせとやるだけなのだけど。今日も30分くらいで容赦なくH先生はやってきた。

今日は、まあまあやるべきところまでできたので、さすがに怒られないだろうと思っていたら、H先生は開口一番、

『遮断鉗子、どっちがだいじなんだ?!』

って。へ?と思っていると、『日本胸部外科学会と日本心臓血管外科学会だよ』。ん?いきなりなんですか?と驚きつつも『う〜ん。学会としては、ちょっとだけなんとなく胸部外科の方が上のように思ったりしたりしなかったり、、』とむにゃむにゃと答えていると,『じゃあ、いいかな〜。いかなくて。胸部外科学科にはもう招待されて行く事になっているしな。KAMAKURAは行ったことあるしな〜』。へ?いったいなんのこと?『実はな、日本心臓血管外科学会に招待されたんだよ。行かなくてもいいよな?ひとつ行けば。な?そう思うだろ?』と。

ここで人工心肺が始まって、手術の山場に入っていった。やるべき事が終って、人工心肺から離脱して、循環器の先生がエコーを見ていた。僕は手術のあいだ中、考えていた事を言った。

『H先生、日本胸部外科学会も日本心臓血管外科学会も、同じ規模の学会で日本全国の小児心臓外科医が集まります。日本の若い心臓外科医は、先生からたくさんのことを学びたいと思っています。先生はいま、きっと日本で一番有名な外国人の小児心臓外科医です(意見には個人差があります)。知っているでしょ?H先生。日本の若い心臓外科医はマフィアシステム(H先生に日本の医局のことをマフィアの組織を例にとって説明したことがあってそれ以来、僕の病院では『医局=マフィアシステム』と訳されています。ちなみに、日本の教授はプロフェッサーじゃなくてゴッドファーザーと呼ばれています。笑。)に属しているから、全部の学会に行けない。行けるとしてもこの2つの学会のどちらかし行けないんです。ゴッドファーザー(教授)だけが全部の学会に参加できるのです。だから、お願いします。どちらの学会にも参加して、話をしてください!!』

おそらく、この3年間で手術中にした発言で一番長かったと思う。ここで、僕が、行かなくてもいいですね、と言ったらきっとぐんと、行かない方に傾く可能性もあったかもしれない。そもそも、行くつもりで僕にかまをかけたのかもしれない。H先生の胸のうちはわかんないけど。とにかく、ここは引いちゃダメだ!!オレは今、日本代表だ!!と言い聞かせて。

H先生は、うんうん、と軽くうなずいた。これは。OKのときのいつもの感じ。





H先生はKAMAKURAって言っていたけど、鎌倉で学会なんて聞いた事ないよな〜。と思っていたら、開けてびっくり。第44回 日本心臓血管外科学術総会は、くまもと。熊本。火の国。くまもんの国。KUMAMOTO。熊本は僕にとっては懐かしい場所。いろいろと知り合いもいるしゆかりのある場所。そこに、H先生が招待されるのだな〜と思うと、なんだか、感慨もひとしお。飛び上がるほど嬉しい。僕は、と言うと、そのころはアフリカ。ここに残って、H先生と一緒に同じ病院の名前で学会に出席したらどんなに鼻高々〜で熊本に帰れたことか。それは故郷に錦を飾る、ということになるのだろうな。きっと、嫌われるくらいにめちゃめちゃ調子にのったかもな。そう思うと少し残念だし、寂しい気もする。でも、これで良かった、と思う。大事な事は、H先生が日本に招待されて、話をすること。




僕のなかでは引き分けだけど、ちゃんと次のステージに進めたのだから、よしとしよう。







第44回 日本心臓血管外科学術総会 2014年2月19日ー21日 

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No title

久しぶりにコメントさせていただきます。

また先生と日本でお会いできる日を楽しみにしております。
機会があればアフリカにも一度伺ってみたいと思います。

次は心臓血管外科・日本代表アフリカ支部ですね!

Re: No title

sokytさん、コメントありがとうございます!!

そうですね。2月の学会のタイミングで日本に帰れるといいのですけど。南国九州といえども、2月の熊本は寒いですからね。ましてや、赤道直下から行きますからね〜。寒いのは苦手です。

アフリカ、来ます?是非、来て下さい!!

また、気軽にコメントお願いします!!
このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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