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『海外では』という、うさん臭さ

テレビやラジオや一般大衆紙ならまだしも、少なくとも医学の話で医師や学会からの『海外では〜が当たり前』『海外では〜が当然です』のような発表を聞いたり、文章を読んだりするけど。う〜ん。ほんまかいな?

そもそも、ここの『海外』というのはどこをさすのだろう?『海外』とはきっと日本以外の国、多くは欧米諸国あるいは他の先進国の事を指しているのだろうけど、そもそも『海外』と十把一絡げに言える共通認識や常識が存在するのだろうか?日本人は、地形的にも民族的にもまとまっているから、自分の常識は日本中で常識として通用する。だけど、民族も言語も歴史も文化もぐちゃぐちゃに混じり合っている他の国では、自分の常識は他人の非常識であって、だからこそ自分のことをきちんと主張して相手に理解してもらう必要がある。もし、世界各国で常識で、日本で通用しない事と言えば、『自分の常識は他人の非常識であって、だからこそ自分のことをきちんと主張して相手に理解してもらう必要がある』という認識だけではないだろうか。と僕は思う。

百歩譲って、日本以外でやっていることを『海外で』と紹介するのは、筆が滑ったということもあるから、言葉のあやだとしよう。しかし、もっと嫌なのは、外国ではこんなことになっているけどそれを本当にその通りかどうか考えてみよう、という論調ではなくて、海外ではこうだから日本もそれに従うべきだ、的な論調になっていることだ。もっと言うと、そう言っている人の主張を通したいがために『海外では』を権威のように引き合いに出しているように感じてしまう。日本人は『海外では』とか『アメリカでは』とか『欧米とか』に弱い傾向がある、と思う。日本国内の自分たちの治療成績やエビデンスには非常に厳しいのに、外国人の作ったエビデンスは同じ厳しさで対応しない傾向にあるような気がする。僕が嫌なのは、『海外では』という論調で自分の主張を通そうとする人たちも、きちんと日本人はそういう傾向があると知っていて、それを利用しようとしている魂胆がみえてしまうところだ。

僕は、有識者や外国に住む人が、外国のこととして情報を提供する事は、素晴らしい事だしどんどんして欲しいと思う。一人で集められる情報は限られているし、その国の文化や雰囲気がわからなければ理解できない事も多い。だから、その国にすむ人が、ある程度その人の主観が入ったとしても、その周辺の情報を教えてくれるのは本当にありがたいと思う。残念な事は、一部の有識者が、自分の都合にあうように情報を曲げて伝えていることがたまにあること。ドイツの心臓外科専門医制度に関してもそうだし、『アメリカでは当然』のように紹介されているクリニカルパスだってそう。いったい、どこでどうなったら、そんな話になるのだろう?と不思議になる。ドイツの専門医制度に関しては、それが一人歩きして、医療のことを扱いたいジャーナリストがその裏をとらずに事実として紹介し、その誤った情報が日本の心臓外科はダメだという論調の基礎になっているからびっくりする。

日本人は素晴らしい、という雰囲気が日本ではいま支配的なのだろうか?限られたニュースでは、日本語を完璧に読めて理解できて、しかも日本の歴史や文化を知っていても、日本のいまの雰囲気や大多数の人の意見というのはわからない。もし、いまがそんな雰囲気なら、ついでに『海外では』という発言のうさん臭さも見直す好機かもしれないな、と海外では思っています。


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A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
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遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

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