FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Fontan手術

13kgの三尖弁閉鎖症で、今回はFontan手術。手術は、A教授、僕、L先生。いつもどおり、18mmのグラフトで。三尖弁閉鎖だからFenestrationはなし。そもそもの大血管の位置関係がTGAのように前後ろなので、大動脈の背後に大きなスペースがあって、割と肺動脈の中枢側に吻合したのだけど、それでも結構スペースに余裕があった。手術場で抜管して終了。

もともとの予定は、L先生が1助手で僕が2助手だった。もちろん、L先生が胸を開けるのだけど、開け始めてから、『何の病気だったっけ?』と聞き出すしまつ。この子は無名静脈が閉鎖していて、その近くのそこらじゅうの静脈が側副血行路になって左半身の静脈血をGlenn吻合に運んでいるので、開胸の時から気をつけていないといけないな〜と思っていた。う〜ん。大丈夫かいな。と不安に思ったので、もういなくなるしいいや、と思い、今までは何も言ってこなかったけど、『ほら、ここに静脈があるよ〜』とか『あ〜その層は浅すぎだよ〜』とか『このラインを剥離してね〜』とか、誘導しながらやっていった。相手は僕よりも立場が上だし、プライドも傷つけちゃいけないと思っているのだけど、なんとなく、この人は僕の誘導を頼りにやっているな、というのが伝わってきて正直、寂しかった。僕はこんな人にポジション争いで負けたんだよな〜。

L先生はH先生、L先生、僕のように手術の予定が組まれている時には、必ず、『開胸と剥離は自分がするから、遮断鉗子が1助手をしてよ』と頼んでくる。L先生はH先生の手術にはなかなかつかないこともあって、必ずH先生の逆鱗にふれ手術は大炎上する。それが嫌なのか、2助手の位置からゆっくり手術がみたいなのか、なんなのかわからないけど。きっと、僕が1助手をやったほうがうまくいくに決まっている。だけど、開胸だけやって1助手は押し付けるという都合のいい事は許せるか、とさすがの僕もぎりぎりのプライドがあるので、開胸をやった人が1助手もやりましょ〜!!と笑顔で答えている。

今日はA教授だから、そんな事言わないな〜と思っていた。さすがに言うはずがない、とこちらも油断していた。A教授が来て、L先生はちょっと手を下ろしていいか、A教授に尋ねると、そのまましばらくどこかに行ってしまい、その間は僕が1助手をしていた。しばらくして帰って来たら、L先生は、『遮断鉗子、そのまま1助手をやってもいいよ』と言った。やってくれ、とか、やってください、じゃなくて、許可などを現す『Du darfst....』と言った。してやられた!!というのもあるし、なんでduerfenなんや!!なんで、お前に許可されんといかんのや!!というのもあって、ちょっと、かちん、と来た。

きっと、L先生は手術をゆっくり見たかったのだと思う。手術を見る事に集中するあまりに、手が全く動かない。サクションくらいはしてくれるかと期待していたけど、それもしない。途中から、本格的に頭にきて、もう、絶対、手をださせんもんね〜と決めた。そもそも、C先生が術者のときはいつも助手は僕ひとりだから、僕1人でも手術は成立する。それ以降、サクションすらさせない1助手をして、L先生は結局、本当に一回も手を出さなかった。

きっと、L先生は僕が残り少ないから、少しでもと1助手を譲ってくれたんだろう。ありがたい、と思わなきゃいけないのだろうけど。だけど、だけど。こんな人に負けた僕って。。。。


そんなこんなで、自分の器の小ささを思い知った手術でした。











スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

このブログの登場人物
A教授:この病院のボス。手術中の紳士的な態度もさることながら、普段の笑顔も素敵。 H先生:A教授と同じ立場のボス。手術中は吠える鬼神に化す。手術を離れるとびっくりするくらい温かい人。実はいろいろな人のことをよく考えているのはこの先生。スロバキア人。 心臓先生:定年まじかのベテラン心臓外科医。みんなの指導医で、論文の数も凄まじく、統計処理も天才的。アフリカのブルンジ人。 J先生:兄貴のような執刀医。明るくて楽しいのだけど、感情の起伏が激しくて手術中は叫びまくることも。でも、その次の瞬間には笑っている。ギリシャ人の血をひくドイツ人。2012年の8月からベルリンの小児心臓外科のボスとして赴任。 C先生:推定年齢45~48歳の女医さん。だれも本当の年齢は知らない。長くこの病院に勤めていて、J先生の去った後、ようやく執刀医の位置に。ドイツ人。 L先生:J先生の後がまで赴任してきた先生。アメリカで修行した経験あり。ドイツ人らしい慎み深いいい人。 P先生:30歳の唯一の若者。元気でいい奴だけど、ちょっと性格が悪く看護師さんからは嫌われていたりいなかったり。H先生と同じスロバキア人で、H先生の保護下にいる。やや過保護?! D君:元々はスクラブナースだったけど才能を見いだされて手術アシスタントに。
プロフィール

遮断鉗子

Author:遮断鉗子
心臓外科医のブログです。
小児心臓外科医(35歳 心臓外科 10年目)のドイツ留学記です。
2010年7月からドイツに。

毎日の手術の事を中心に。ドイツビールの紹介もしていきます。

心臓同好会
心臓を熱く語る、勉強するみんなの会です!! こちらにも遊びにきてくださ~い!!
遮断鉗子へのメールはこちらからどうぞ
記事に関係ないことを言いたい!!  他の人には読まれたくない!!  という方はこちらからメールをお送りください。

名前:
メール:
件名:
本文:

最新コメント
リンク
カテゴリ
月別アーカイブ
来て下さった方々
最新トラックバック
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。